日本筋学会第5回学術集会

会長挨拶

第5回日本筋学会
会長 田中 栄
東京大学大学院医学系研究科 整形外科

謹啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。平素は、格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

この度2019年8月2日(金)、3日(土)に東京大学伊藤国際学術研究センターにおいて開催される第5回日本筋学会を担当させていただくことになりました。日本筋学会は「わが国における骨格筋生物学研究に関する統一的な組織を構築し、次世代の研究者を積極的に支援する場を設立すること」を目的として、2015年に設立されました。さる2018年8月10日(金)、11日(土)には川崎医科大学の砂田芳秀会長のもと、第4回学術集会が開催されましたが、参加人数は約350名の盛況で、この分野に対する注目の高さがうかがわれました。

これまで筋研究領域においては、筋小胞体とトロポニン複合体による筋収縮のメカニズムを解明した故江橋節郎博士の研究をはじめとして、多くの優れた基礎研究の成果がわが国から発信されてきました。またDuchenne型筋ジストロフィーの原因分子としてジストロフィンが発見されて以来、筋ジストロフィー研究がわが国においても本研究領域を牽引する中心的な力となってきました。しかし近年世界的に社会の高齢化が大きな問題となり、高齢者における筋減少症であるサルコペニアやフレイル、そして運動器機能障害であるロコモティブシンドロームなど新たな疾患概念の登場とともに、筋研究領域も大きな広がりをみせています。これらの疾患は要介護の主要な原因となり、高齢者の生命予後やADLを低下させるため、その対策が急務であると考えられていますが、これら疾患対策のために筋研究が大きな役割を担うことが期待されているのです。

本学会のテーマは“To infinity and beyond!”といたしました。このテーマには現在新たなステージに突入しつつある筋研究に対する大きな期待が込められています。近年筋研究に関する関心が多くの領域で高まりつつあるにもかかわらず、その研究は部分的な興味に集中する傾向があり、多領域の研究者や臨床家の情報交流の場が不足しているのが現状です。本学会が、筋領域の基礎研究者のみならず、内科学、整形外科学、リハビリテーション医学など多くの研究者および臨床家の活発な交流の場となり、多領域の融合による研究分野の発展を目指すとともに、ますます深刻化する社会の高齢化に向けた対策の一助になれば幸いです。

謹白

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