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第8回日本筋学会学術集会 会期:2022年8月5日(金)~6日(土) 会場:東京大学 伊藤国際学術研究センター 伊藤謝恩ホール 会長:戸田達史

会長挨拶

会長 戸田 達史
東京大学大学院 医学系研究科 神経内科学 教授

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この度2022年8月5日(金)、6日(土)に東京大学伊藤国際学術研究センターにおいて開催される第8回日本筋学会を担当させていただくことになりました。日本筋学会は「わが国における骨格筋生物学研究に関する統一的な組織を構築し、次世代の研究者を積極的に支援する場を設立すること」を目的として、2015年に設立されました。2021年12月11日(土)、12日(日)には京都大学の萩原正敏会長のもと、第7回学術集会が開催されましたが、この分野に対する注目の高さがうかがわれます。

人体には約400の骨格筋があり、その重量は体重の30~50%を占めます。筋学Myologyは筋および関連する腱、腱膜、滑液包、筋膜について研究する学問です。これまで筋研究領域においては、筋小胞体とトロポニン複合体による筋収縮のメカニズムを解明した故江橋節郎博士の研究をはじめとして、多くの優れた基礎研究の成果がわが国から発信されてきました。またデユシャンヌ型筋ジストロフィーの原因分子としてジストロフィンが発見されて以来、筋ジストロフィー研究がわが国においても本研究領域を牽引する中心的な力となり、我が国の開発によりデユシャンヌ型筋ジストロフィー治療薬ビルテプソが上市されました。また自己免疫疾患である筋炎の多くの自己抗体が発見され免疫学的治療が展開されております。

さらに近年世界的に社会の高齢化が大きな問題となり、高齢者における筋減少症であるサルコペニアやフレイル、そして運動器機能障害であるロコモティブシンドロームなど新たな疾患概念の登場とともに、研究領域も大きな広がりをみせています。これらの疾患は要介護の主要な原因となり、高齢者の生命予後やADLを低下させるため、その対策が急務であると考えられていますが、これら疾患対策のために筋研究が大きな役割を担うことが期待されているのです。またミオスタチン以外にも筋肉が出す物質が次々に見つかり、「マイオカイン」という総称がつけられ、今このマイオカインがとてもホットな研究分野になっています。マイオカインの働きで「がんの増殖が抑えられた」「うつ症状の改善に効果があらわれた」など、一見筋肉とは無関係に思える不思議な作用についての報告もあり、「筋肉の働きで記憶力が高まる可能性がある」という論文もあります。

本学会のテーマは“Myology, Therapy, and Beyond”といたしました。このテーマには現在新たなステージに突入しつつある筋研究に対する大きな期待が込められています。近年筋研究に関する関心が多くの領域で高まりつつあるにもかかわらず、その研究は部分的な興味に集中する傾向があり、多領域の研究者や臨床家の融合する場はまだまだ足りないと感じています。本学会が、筋領域の基礎研究者のみならず、脳神経内科学、小児神経学、代謝内分泌学、整形外科学、リハビリテーション医学、医工学など多くの研究者および臨床家の活発な交流の場となり、多領域の融合による研究分野の発展を目指すとともに、ますます深刻化する社会の高齢化に向けた対策の一助になれば幸いです。

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