第43回日本炎症・再生医学会

ご挨拶

会長:熊ノ郷淳

炎症再生医学会は、「炎症」と「再生」という二つのキーワードに関わる研究者が、基礎から臨床まで集い、最新の研究成果を発表・議論し、相互に交流することで未来の医療・医学を切り拓く「場」「架け橋」となることを目的に毎年開催され、今回で学術集会は43回目の開催となります。炎症学、発生学、免疫学はもとより、再生医学、分子・細胞生物学、血液学、整形外科学、外科学、耳鼻科学、リウマチ・膠原病内科学、呼吸器内科学、腫瘍内科学、内分泌・代謝学など、基礎研究者から臨床家までが領域の垣根を越えて一堂に会するプラットフォームとなっております。

医学医療分野におけるブレイクスルーの例として、この半世紀の間、免疫研究はめざましい進展をみせ、医学・生命科学におけるドライビングフォースとして多くの新しい発見・知見をもたらしてきました。抗TNF-α抗体、抗IL-6受容体抗体、CTLA-4蛋白、JAK阻害薬の関節リウマチ、クローン病、乾癬などでの画期的な成果など、基礎研究から臨床医学にまで免疫学の進展・発展は今日の医学・医療に大きなインパクトをもたらしています。さらに抗PD-1/PD-L1抗体に代表されるがん免疫療法も、現在では炎症再生医学会に関連する重要なテーマの一つです。

注目すべきは、これらのブレイクスルーが決して単一の研究領域(「経糸の医学」)から、生み出されてきたものではないということです。学際的研究(「横糸の医学」)の中で、基礎研究者、臨床家、製薬メーカーが、お互いに連携・情報共有することによって、「横糸の医学」と「縦糸の医学」が絡み合い、大きな布に紡がれ織り込まれてきたからこその成果です。昨今、専門性、分野別など、「縦糸の医学」ばかりが強調されるきらいもありますが、今後も多臓器連関(神経系、内分泌系、消化器系など)、臨床データ、ゲノムBig Data活用、バイオインフォマティクス、イメージング・画像解析技術開発など、最先端の知見やテクノロジーを取り入れながら、学際的な研究領域を基礎・臨床両面から発展させることが重要と考えます。

今回の炎症再生医学会の学術集会のテーマ「明日への架け橋〜横糸の医学としての炎症・再生」を掲げ、淡路島夢舞台の淡路夢舞台国際会議場にて2022年7月6日〜7日の開催を予定させて頂く予定にしております。生命原理の理解を基礎にヒトの多くの疾患や難病の克服と健康維持に資する学術集会とすべく、最善を尽くして参りますので、何卒ご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

第43回日本炎症・再生医学会
会長 熊ノ郷 淳
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器免疫内科学

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